教師自らが考えて考えて考え抜きます

1+1は、なぜ2なのか

私たちは当たり前を疑うことで、子どもと同じ目線を養います。1+1は2に決まっているのでしょうか。仮に決まっているとすれば、誰が、どのようにして決めたのでしょう。

これと同じような疑問を持つ子どもは、必ずいます。その子から「先生、どうして1+1は2に決まってるの?」と尋ねられたときに、どう答えるか。灘学習院の教師なら「どうしてだろうね。一緒に考えてみようか」と返します。その先には「1とは何か」、「+1とはどういうことか」、「2が意味するものは」などの問いが、次から次へと出てくるでしょう。中には「+」や「=」などの記号の意味に疑問を持つ子どももいるはずです。そうした疑問の答えを説明するのではなく、「先生はこう思うけど、君はどう?」と子どもの考えを引き出し、頭が動き続けるようにすること。これが灘学習院の教師の仕事です。

 

東経の意味を突き詰める

私たちはよく、子どもの頭に浮かびそうな疑問をテーマに議論します。例えば、社会科では「日本の標準子午線は、東経135度で兵庫県明石市を通っている」と説明します。これが社会科のテストでは「日本の標準子午線は、東経何度ですか」といった問題や、「日本の標準子午線は、どこを通っていますか」などの問題として出題されます。

テストで答えるだけなら、標準子午線=東経135度=明石市と覚えておけばよいのです。けれども、その先に広がる世界に子どもたちを導いてあげたい。そもそも「東経」とは何を意味しているのか。それはどうやって決められたのか。経度と緯度の違いは。好奇心を刺激する世界に子どもたちを誘うには、どうすればよいか。そんな議論を繰り返しています。

 

良いヒントは、自分で考える中で生まれます

教師に求めるのは、わかりやすい解説ではなく、子どもが考え続けるためのヒントです。食塩濃度を考える算数の問題なら、まず「%」の意味を問いかける。「%」という記号そのものに注目して、「0」と「/」と「0」に分解してみる。学年によっては消費税の話を持ち出すこともあります。

ヒントの出し方についてのマニュアルなどありません。教師一人ひとりが、自分で考えたヒントを使います。そのためには、教師自らが担当教科について、深く考えなければなりません。突き詰めて考えるから、さまざまな角度からのヒントを、自分だけの引き出しに蓄えておくことができるのです。