教えないための研修です

子どもの可能性への信頼

頭を動かし続けさえすれば、考える力は必ず伸びる。灘学習院の教師は全員、この確信を持って子どもたちと向き合います。

もとより、灘学習院に入社してくる教師のバックグラウンドは人それぞれ異なります。他の塾からの転職者は、研修内容のあまりの違いに驚くようです。塾の研修といえば、通常はわかりやすく教えるための解説です。これに対して灘学習院の研修は、子どもたちに教えないための研修です。教えることなく、子どもたちの頭を動かし続けることで、考える力を伸ばすための研修です。

 

子どもと同じ立場での気づき

研修では、国語などの文系科目を担当する教師が、算数の問題に挑戦します。私学トップクラス校の難問は、専門外の教師にとっては極めて難問です。指名された教師が、黒板の前で立ち往生することもしばしばです。

こうした研修を通じて、文系教師、理系教師ともに大切な気づきを得ます。難問を前に苦しむ教師は、子どもの気持ちを疑似体験することになります。この体験は、子どもに寄り添う際に求められる気持ちの原体験となります。

算数を専門とする教師には、子どもがどこで、どのように間違いやすいかを確認する機会となります。問題に立ち向かっている教師は、算数が専門外とはいえ、自分がどこまでわかり、どこがわからないのかを説明することは可能です。一つの問題をさまざまな立場から、全員で検討することが、実際に子どもたちを導く上での格好のシミュレーションとなるのです。

 

各教師が自分のやり方を練り上げていきます

基本的なスタンスを共有した後の子どもたちへの接し方は、教師一人ひとりのやり方に委ねられています。ただし新任教師に、いきなり授業を任すことはありません。最初は先輩教師の授業風景を見ることで、授業の運営方法やクラスの雰囲気づくりなどを学びます。

その後、少しずつ授業を任されるようになるものの、入社後1年間は、必ず週に1回、先輩の授業を受けて勉強を続けます。けれども、先輩のやり方をそのまま真似るのではありません。対象となる生徒が異なるのだから、やり方も異なるのが自然です。

子どもたちに対する信念は共有し、自分なりのやり方を模索する一方で、毎週2回の研修を通じて、生徒への接し方を磨いていく。時間はかかりますが、それほどまでに「教えないための研修」は一律化することが難しく、逆に教師それぞれのやり方を構築する必要があるのです。