授業では、子どもたちの考えを深めることに徹します

考えることは脳の筋力トレーニング

考える力は、考え続けてさえいれば必ずついていきます。考える力も筋力も強くなる原理は同じです。仮に腕立て伏せが一回もできなかったとしましょう。それぐらい力が弱くても、膝をついて腕を少し曲げて伸ばすぐらいならできるはず。これを毎日繰り返していれば、少しずつでも確実に腕の力はついていきます。そのうち普通の腕立て伏せができるようになり、やがては20回、30回と繰り返せるようになります。

脳もこれと同じです。しかも、脳のトレーニング効果は、ある日突然急激に力がジャンプアップする形で表れます。これまで歯が立たなかったような難問を、急に楽に解けるようになるのです。これまで何度もそんな子どもたちを見てきました。これは脳の中に新しい回路がつながった証拠、そうなると子どもの視界が一気に広がります。新しい世界が見えた子どもは、見違えるように成長していきます。

 

考えるための最高の雰囲気づくり

教室にいるみんなの真剣に考える姿が、子どもを後押してくれます。灘学習院に入塾した子どもは最初、必ずみんな面食らいます。なぜなら授業が始まっても、教師がみんなの前で話をすることはなく、まわりにいる子どもたちもそれが当たり前のように、ひたすら目の前の問題に取り組んでいるからです。

やがて20分ぐらいすると、静かに手を挙げる子どもが出てきます。すると教室の後ろから教師が近寄っていき、マルを付けたり、何かひと言ことばをかける。これが灘学習院の考える授業スタイルです。

最初はとまどうけれども、順応力の高い子どもは、いずれ考える雰囲気に慣れていきます。考えることのおもしろさ、頭を使うことの心地よさに気づくのです。

 

ヒントの内容とタイミングを吟味しています

灘学習院では、教師は後ろから子どもたちの様子をじっと観察しています。子どもの頭が止まる瞬間を注視しているのです。いくら考える雰囲気に包まれているとはいえ、小学校4年生ぐらいなら集中力が続くのは最初は20分ぐらいでしょう。しかも、取り組んでいるのは難問です。

考え続けるのが難しくなったときこそ、教師の出番です。といっても、わからないところをたずねて、教えるわけではありません。答案用紙に書いている内容を見て、その意味を問いかけることがあります。これで、子どもの頭のスイッチが再び入ります。あるいは、どうにも難しくて手こずっている場合には、ひと言だけ次の展開につながるようなヒントを出すこともあります。ヒントといっても「こうしてごらん」と次のプロセスを示すのではなく、「こう考えたら、どうなるかな?」と、あくまでも子どもに問いかける形が基本です。適切に質問されることで、頭は再び動き始めるのです。